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品品喫茶譚 第二十三回『東京 下北沢 トロワ・シャンブル』

昼前に下北沢のライブ会場に着いて荷物を置くと、汗だくになりながら古書ビビビへ走った。弛緩したのか、割り切ったのか、慣れたのかはわからないけれど、街は人で溢れていた。こんな下北沢が大嫌いで好きだったことを思い出したりした。会場に戻り、控え室で出番を待った。 この日のライブは「グッドバイ」という歌から始めてみた。さよならから始める。春に

品品喫茶譚 第二十二回『東京 駒澤大学 パオ』

四月上旬の浮ついた空気の中、私は近くの大学の構内のベンチに腰掛けている。キャンパス内では新入生が健康診断の為に列をなし、広場や校門ではアメフトのユニフォームを着たサークル勧誘の学生たちが強引ともいえるような勢いでチラシを配っている。マスクをしているせいで年齢が分かりづらくなっていることもあり、危うくチラシを配られそうになった。もう

品品喫茶譚 第二十一回『京都 岡崎 泉輪』

春を通り越して夏めいてさえいた昨日、今年最初のアイスコーヒーを初めて入った喫茶店で飲んだ。ドアを開けた瞬間、マスクを貫通して訪れるタバコの匂いにむせ返りそうになる。お客はその大半がスポーツ新聞や本を片手に眉間にしわを寄せた老人だった。壁には「長寿への道」という紙が貼られている。「腹」という字を横向きにし「はらたてず」、「気」という

品品喫茶譚 第二十回『京都 衣笠 珈琲工房』

ファーストフード店の二階でハンバーガーを食べている。私はこのチェーン店の朝メニューが好きで、早起きした朝には結構な割合でチェーン店に足を運ぶ。いつもセットにするとついてくるハッシュポテトは別に単品でもう一個注文する。私はこのハッシュポテトが食べたくて足を運んでいると思う。この日、金閣寺近くで用事があり、朝早めに家を出発した。しかし

品品喫茶譚 第十九回『京都 一乗寺 喫茶アルペ』

最近はもっぱら行ったことのない喫茶店に行ってみるようにしている。というのも、強いてそうやって動かない限り、私はすぐにいつも行っている所に腰を落ち着けようとするからで、それはそれで別に悪いことではないけれど、なんというか万事この調子だとすべてが安定・無難に落ち着いてしまって、刺激もなければ新しい感覚にも鈍感になってしまうと思ったから